これまでの議論を踏まえ、「政府」と、その子会社のような存在である「日本銀行(日銀)」を一体とみなす「統合政府」という考え方でバランスシートを計算し直すと、劇的な結果になります。
結論から申し上げますと、令和3年度末(2022年3月末)時点の概数に基づけば、日本の国(統合政府)の資産から負債を差し引いた純資産は、マイナスどころか「約180兆円のプラス(資産超過)」となります。
以下に、その計算の根拠をまとめます。
統合政府バランスシートの試算(令和3年度末概数)
政府の公式な財務書類の数字をベースに、日銀が持つ国債をグループ内部の取引として相殺(チャラに)する計算を行います。
1. 資産の部(プラスの財産)
政府が持つ資産はそのまま計上します。(日銀の保有資産も加わりますが、ここでは話を単純化するため政府資産をベースに考えます。大きな結論は変わりません。)
有形固定資産(土地、建物、インフラなど):約635兆円
金融資産(外貨準備、貸付金、出資金など):約413兆円
その他資産:約78兆円
【資産合計】:約1,126兆円
2. 負債の部(マイナスの借金)の修正
ここが最大のポイントです。政府の負債総額から、身内である日銀が持っている国債分を差し引きます。
政府の負債総額(修正前):約1,445兆円
【修正】差し引く日銀保有国債:▲約500兆円(当時の概数)
【修正後負債合計】:約945兆円
これにより、民間の銀行や海外の投資家などが持つ「実質的な対外的な借金」は約945兆円となります。
3. 純資産(資産-負債)の計算結果
最後に、資産から修正後の負債を引きます。
資産合計(1,126兆円) - 修正後負債合計(945兆円) = プラス 約181兆円
この数字が意味すること
この試算から分かることは、「日本国政府は、日銀を含めた統合体として見れば、保有する資産ですべての負債を返済しても、なお約180兆円のお釣りがくる(資産が余る)」という極めて強固な財務体質を持っているということです。
財務省が強調する「債務超過(借金まみれ)」という姿とは真逆の結果となります。
ただし、重要な注意点
この計算結果を見て「だから財政は全く問題ない、いくらでも借金して良い」と短絡的に考えるのは危険です。以前も触れましたが、以下の点に留意が必要です。
借金が消えたわけではない: 国債という「有利子の借金」が、日銀が発行する「日銀当座預金や現金(無利子または超低金利の負債)」に形を変えただけです。
インフレのリスク: 借金を中央銀行が通貨発行でファイナンスし続けること(財政ファイナンス)は、将来的に通貨の価値が下がり、制御不能なインフレを引き起こすリスクと隣り合わせです。
結論として、バランスシート上では日本は世界有数の「金持ち国」であり、財政破綻の懸念は極めて低いと言えますが、その信用を維持するためには、適切な経済運営とインフレ制御が不可欠であるという実態を表しています。だから、責任ある積極財政として減税分の確保などを念頭に政策を立案・実行しているのです。

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