日本では、「過去最大の概算要求」というニュースは毎年恒例のようになっていますが、その内実を諸外国の基準と照らし合わせると非常に「変(特殊)」な構造を持っています。
「国債残高の返済」を含め、日本の予算が諸外国と比べてどのように特殊なのか、主なポイントを整理して説明します。
1. 世界でも日本だけの「国債の60年償還ルール」
日本の予算が諸外国と比べて最も決定的に違うのが、「債務償還費(国債の元本返済費用)」を毎年の一般会計予算に計上している点です。
日本のルール: 日本には「発行した赤字国債などを60年かけて完済する」という独自のルールがあります。そのため、毎年の予算(一般会計)の中から、国債残高の約1.6%(60分の1)を強制的に返済用資金(国債整理基金)に繰り入れています。これが毎年十数兆円規模にのぼります。
諸外国のルール: アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどの主要先進国では、予算に計上するのは「利払い費(利子)」のみです。元本については、満期が来ても新しい国債を発行して借り換える(借換債)のが基本であり、「財政が黒字になった時だけ元本を返済する」というスタンスをとっています。
つまり、諸外国は「借金(元本)の返済」を毎年の予算(歳出)に含めていないのに対し、日本だけが真面目に一般会計の支出として計上し続けています。
2. 「見かけ上の予算」が膨張する構造
この「元本返済分」を予算に含める日本の特殊な会計ルールにより、いくつかの弊害や錯覚が起きています。
予算の過大計上: 毎年の予算要求が110兆円を優に超える規模になりますが、そのうちの十数兆円は単なる「借金の元本返済(債務償還費)」です。諸外国と同じ「利払い費のみ」の基準で計算し直せば、日本の国家予算は諸外国と比べて異常に膨れ上がっているわけではありません。
「財源がない」という錯覚: 毎年十数兆円を強制的に返済に回しているため、「新しい政策(防衛費増額や少子化対策など)をやるためのお金がない、だから増税だ」という議論に直結しやすくなります。この「60年償還ルール」を見直して諸外国と同じグローバルスタンダードな会計基準にすれば、見かけ上の歳出額を減らし、財源確保の議論も変わってくるという指摘が経済学者などからも出ています。
3. 補正予算の「常態化」という異常
当初予算(概算要求)だけで過去最大と騒いでも、補正を含めると昨年度とさほど変わらず、このことが、日本の財政運営の奇妙な点を突いています。
本来の補正予算: 諸外国や日本の財政法本来の趣旨において、補正予算とは「大規模な自然災害」や「突発的な経済危機」など、当初の予想を覆す緊急事態が起きた時にのみ組まれるべきものです。
日本の現状: 日本では近年、秋から冬にかけて「総合経済対策」と称して十数兆円規模の補正予算を組むことが毎年のルーティン(常態化)になっています。概算要求や当初予算の段階では財務省の厳しい審査を意識して規模を抑え、後から補正予算で帳尻を合わせるという状態になっており、「当初予算の過去最大」という言葉自体が形骸化しています。
まとめ
日本の予算編成は、諸外国では予算に含めない「借金の元本返済」を計上して見かけ上の支出を膨らませている一方で、本当に必要な支出は「補正予算」という裏口から毎年追加するという、非常に不透明かつガラパゴス化された構造になっています。これらが、日本の予算運用が諸外国と比べて「変」だと言われる最大の理由です。

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