中国が公式に発表している若年層(主に16〜24歳)の失業率と、国内外の専門家や研究機関が推計している実質的な失業率には大きな乖離が存在します。双方の数値を比較すると以下のようになります。
中国の若年層失業率の比較
| 調査・推計主体 | 対象・時期 | 若年層失業率 | 算出の主な特徴・根拠 |
| 中国国家統計局(旧基準) | 2023年6月 | 21.3% | 在校生を含めた従来の算出基準において発表された過去最悪の公式数値。 |
| 中国国家統計局(新基準) | 2025年〜直近 | 約16%〜18%台 | 2023年12月以降、求職中の「在校生」を分母から除外して算出。2025年8月には新基準で過去最悪の18.9%を記録。 |
| 張丹丹 氏(北京大学副教授) | 2023年3月時点の試算 | 46.5% | 公式発表が19.6%だった時期に、就職を諦め実家などに依存する若者約1,600万人を失業者に含めて推計。 |
| 海外研究機関(米シンクタンク等) | 2023年〜2024年分析 | 40%〜50% | 農村部の実態や、パートタイムなどの不完全就業を含めた実質的な失業状態を考慮した見解。 |
| 世界銀行 | 2025年推計 | 17.7% | 大卒者の増加と雇用創出の鈍化を反映した、公式フレームワークに基づく高めの推計。 |
公式発表と専門家推計に乖離が生じる根拠
専門家の分析値が公式発表を大きく上回る背景には、労働力の定義や中国特有の社会・経済構造の変化が絡んでいます。
「寝そべり族(躺平)」と労働力人口の定義
中国の公式統計では、積極的に求職活動を行っていない者は「非労働力人口」とみなされ、失業率の計算から除外されます。しかし北京大学の張丹丹副教授の分析では、就職活動自体を諦めて親元で暮らす若者(いわゆる「寝そべり族」)が約1,600万人に上ると指摘されています。彼らを「就業意欲を失った潜在的な失業者」としてカウントした場合、失業率は当時の公式発表から50%近くへと跳ね上がります。
統計手法の改定(在校生の除外)
中国政府は、若年失業率が21.3%と過去最悪を更新した2023年6月の発表を最後に、数カ月間にわたりデータの公表を停止しました。その後、同年12月から「アルバイトを探している在校生」を調査対象から除外する新基準を採用しました。これにより見かけ上の数字は一時的に14%台に下がりましたが、失業の実態が根本的に改善したわけではないと専門家から指摘されています。
「不完全就業」とギグワーカーの増加
公式統計では、週に数時間の労働やフードデリバリーなどの不安定な単発の仕事(ギグワーク)に従事している場合でも「就業者」としてカウントされます。海外の研究機関は、本来フルタイムを希望しながらも妥協して低賃金やパートタイムで働く「不完全就業」の状態や農村部の隠れた失業を考慮すると、実際の失業率は40〜50%に達すると分析しています。
大卒者の急増による深刻な雇用ミスマッチ
若年層の失業率が高止まりしている根本的な要因として、大学卒業者の急増(年間約1,200万人規模)と産業界のニーズのズレが挙げられます。多くの若者はITや金融などの高給なホワイトカラー職を望みますが、景気低迷や政府の業界規制によってこれらの求人は縮小しています。一方で、企業側が求めているのは現場の熟練工などであり、学歴と産業界のニーズのミスマッチが解消されていないのが現状です。
この動画では、中国の若者の間で広がる就職難の実態と、北京大学の専門家による実際の失業率が46.5%にのぼる可能性についての見解が解説されています。

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